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和邇のコート・ハウス建築記(2)

2020.03.07

新たな土地を探し始めてはや二週間。Yahoo!不動産をにらむ日々が続いています。

お施主さんは和邇の雰囲気をとても気に入っているので、なんとか近くで空いている土地を探します。

やや専門用語になりますが、「市街化区域」という言葉があります。ひらたく言うと、住宅などを建てて都市化していきましょうと国や自治体が定めるエリアのことです。
和邇はこの市街化区域の内外にわたっています。区域外の土地は安いのですが、もともと家を建てることを想定していないため、手続きが非常に煩雑になったり、場所によってはインフラが整備されていない、あるいは新築が許可されないといったデメリットがあります。


お施主さんは一刻も早く家を建てたいので、市街化区域限定、中庭のコンセプトを実現できるのに十分な広さ、そしてせっかくなら琵琶湖が見える土地・・・。
地元の不動産屋さんにも相談しながら根気よく探します。


そんなある日、気になる物件を見つけました。琵琶湖と比良山が見え、駅も徒歩圏内。市街化区域で広さも十分。道路も広く工事もしやすそう。今度はハザードマップも問題なし。

お施主さんにメールすると、さっそく見学に行かれ、この土地に決めた!との連絡が。
行動の早さに驚きましたが、とても気に入っていただけたようです。


これがその土地です。高台にあり、琵琶湖を一望できます。立地は文句なし。
ただこの敷地にも、ひとつ解決しなければならない問題がありました。


宅地を造成した当初の擁壁(グレー)の上に、もう一段擁壁(白)がのっています。これを二段擁壁といいます。


イメージはこんな感じです。昔の持ち主が土地を広く使うため、周囲に塀を建て、土を盛っているのです。
もともとの想定より多くの土が載っているので、下の擁壁が壊れるおそれがあります。
また上の擁壁もブロック積など簡易なものが多く、大量の土の重みには耐えきれません。

古い造成宅地ではこの二段擁壁が結構多く、老朽化して崩れるなど近年問題になっています。まわりの住宅もほとんどが二段擁壁になっていました。


上の擁壁には大きな亀裂が入っていて、いつ崩れてもおかしくない危険な状況です。
今回の二段擁壁は、お隣の敷地まで伸びていました(もともと1つの土地だったようです)。たまたまお隣も新築中だったので、相談し、協力してすぐに解体することにしました。


スッキリしました。
多少の解体費はかかりましたが、安全にはかえられません。

土地も決まり、いよいよ本格的な設計が始まります。

(つづく)