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和邇のコート・ハウス建築記(4)

2020.03.21

プランの方向性が固まってきたので、構造設計者と打ち合わせを行います。

担当はESQD一級建築士事務所の三崎さん。
木造、鉄骨造、RC造の各種構造に精通しているのはもちろん、私たちのデザインの意図を深く理解し、構造的な提案につなげてくれる頼もしい構造設計家。実は大学の同級生でもあります。


打合せのために模型を作りました。
今回のプランは外周に目いっぱい耐震壁があるので、強度は十分。
おかげで居室と中庭の間にはまったく壁のない、開放的なプランにできそうです。

屋根が折れ曲がるところの接合部がやや複雑になるため、ここをいかに単純な仕組みで解決するかが重要です。
検討の結果、角度をつけた金属のプレートで、柱と梁をつなぐことになりました。

最後は仕上げで隠れてしまいますが、目に見えないところで建物を支える大切な部分です。
実は多角形のプランは、構造的にも一役買っています。

山型の断面では、屋根の重みによって壁を外に開こうとする力(スラスト)がはたらきます。
これを止めるためには、開き止めをつけるか、太い梁をもうける必要があります。
しかし今回のプランでは多角形の壁がおのずとスラストに対抗するため、開き止めをつけずに、合理的ですっきりした空間にできたのです。
建物を3Dモデルに置き換え、最終的な構造解析を行います。
今回は一般的な住宅の約1.25倍(耐震等級2相当)の強度をもたせています。

この規模の住宅は建築基準法上の「四号建築物」といって、実は厳密な構造計算は求められないのですが、私たちの事務所では必ず行うことにしています。

ついに建物の骨組が決まり、間取りが確定しました。ここからはいよいよ「実施設計」に入ります。

(つづく)