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和邇のコート・ハウス建築記(5)

2020.03.28

設計者が書く図面は「基本設計図」と「実施設計図」の2段階に分かれます。

ここまで書いてきた基本設計図は、お施主さんと打合せをするための図面です。
あまり細かいことは書き込まず、要望に沿ってどんどん内容を書き換えていきます。
間取り、外観、床面積など、建物の大枠が基本設計図で決まります。


いっぽう実施設計図とは、工務店に見積を取るための図面です。
正確な見積を出せるように、そしてその後の工事がスムーズに進められるように、基本設計図をベースに精密な図面を書いていきます。

屋根と外壁の詳細図です。
今回はお施主さんの希望もあり、壁も屋根もガルバリウム鋼板貼りとしています。
ガルバリウム鋼板とは鉄や亜鉛からなる合金で、軽く錆びづらい素材です。住宅以外にも様々な建物の外装に使われます。

中庭側の建具詳細図です。
中庭はこの家のシンボルなので、ここは奮発してすべて木製建具としました。
断熱性に優れ、なにより既製のアルミサッシにはない手触りの良さと温かみがあります。

実施設計ではひたすら机に向かい、黙々と図面を書き続ける日々。
特にブログの記事になる出来事もなく・・・(笑)約一月かかって、精魂込めた実施設計図が書き上がりました。
いよいよ工務店への見積です。


工務店の選び方にも色々あって、実施設計の時点で工務店を決めてしまう「特命」、図面が出来上がってから数社に見積をとる「見積合わせ」などがあります。


特命は工務店と打ち合わせしながら設計ができるため、工事費が調整しやすいのがメリットです。
反面、1社だけの見積になるため、適正価格の見極めがしづらいというデメリットがあります。
見積合わせのメリット・デメリットはちょうど特命の逆です。


今回は知人の紹介などもあり、地元で評判の良い2社に見積合わせを依頼しました。
どちらも丁寧な対応をして頂き、誠実に工事に取り組んでもらえそうな印象を受けました。
たくさんの図面に目を通し見積を計算するのは、実は大変な作業です。どちらか1社としか契約できないのは申し訳ない思いがします。


およそ一ヶ月後、2社から見積が届きました。しかし両方とも大幅な予算オーバー。
夢の平屋計画がピンチに。


(つづく)